●ユーザーグループ設立の目的
小角散乱は、生物関連分野、高分子・ソフトマター関連分野、ハードマター・無機・金属関連分野などにおいて、なくてはならないツールとなっており、ユーザーも裾野の広がりを見せている。PF側の尽力によるビームラインの充実も踏まえ、PFにおける旧小角散乱ユーザーグループ(UG)(主にBL-15Aユーザー)、酵素回折計 UG(BL-10Cユーザー)、BL-9C の3つの小角散乱ビームラインのユーザー連携を強化し、これまでの活動を統合・継承しながらより活発化させることを目的に、2012年4月に巨大な小角散乱UGとしての活動を開始した。多岐、多分野にわたる小角散乱ユーザーにとって、対象とする素材(試料)の枠を越えた広い時空間における物質の機能・構造の理解、得られた知見の応用展開を図るために、学術分野を越えた活発なUG活動を推進する必要がある。2015年より代表 櫻井伸一先生と生物生体関連分野、高分子・ソフトマター分野、生物、ハードマター・金属の各分野副代表に加え、各分野から2名程度の幹事の参加をいただく体制で開始し、分野連携・交流の研究会などを通じた活性化を図ってきた。2020年にCOVID-19の問題により5月にリモート開催されたUG会議から一部構成メンバーが交代し、引き続き活動の推進に当たって頂いている。現在副代表は生物関連分野から奈良先端大・上久保裕生先生、高分子関連分野から名工大・山本勝宏先生である。多分野にわたる UG のまとめ役として、経験豊富な副代表の2名の先生方、広い分野からの幹事の先生方と密に連携し、小角散乱装置のさらなる充実とサイエンスの広がりを目指して今後の小角散乱 UG の活動を行っていく。グループ内の研究分野が多彩であることから、情報や意見の交換の活性化の観点から、さらに各分野の先生に幹事をお願いする体制となっている。
●主要ビームライン
6A, 10C, 15A2
●主な研究活動内容
生物関連分野、高分子・ソフトマター関連分野、ハードマター・無機・金属関連分野まで多分野にわたり、広い時空間における物質の機能・構造の理解のための研究とその応用のための研究を行っている。小角散乱 UG のメンバーは、メーリングリスト jpsaxs[at]pfweis.kek.jp も活用し情報の相互発受信を通して、講演会の案内や色々な情報共有に生かしている。PF の小角散乱だけでなく、国内施設の小角散乱実験(X線、中性子ともに量子ビームとしてのマルチプローブを意識した実験)の情報共有・交換、告知などにもメーリングリストが利用されている。また、PF小角散乱ビームラインの HP (http://pfweis.kek.jp/~saxs/) も整備されており、PFスタッフ(清水伸隆先生、五十嵐教之先生、高木秀彰先生)が推進しておられる、装置や測定技法の高度化、ソフトウェアの充実とビームライン使用の利便性向上のための取り組みについての情報が発信されている。