鉱物・合成複雑単結晶ユーザーグループ

    ●ユーザーグループ設立の目的
    本ユーザーグループは、シンチレーション検出器を用いた単結晶X線回析法の優位性と放射光X線の特徴を利用した、結晶学的研究手法により、天然産物質である鉱物や優れた物性を発現する物質、新鉱物・新物質の結晶の構造決定や精密構造解析を基盤に、原子レベル構造や電子密度分布。欠陥構造、格子振動特性、相転移機構、物性の発現機構等の解明を行う。
    結晶に内在する要因および外的要因を明らかにするため、ダイヤモンドアンビルセル等による超高圧実験や低温・高温実験、雰囲気変化実験、強磁場・電場印可実験等の物理条件を変えた実験測定も可能とし、放射光の特性を最大限引き出した、日本先導・固有の研究ステーションとして、深化をはかりつつ、新鉱物・新規物質の探査を行い次世代の研究者の育成も含め、材料等の開発を推進することを目的とする。具体的な活動目標として下記を挙げる。

    1)本グループの特徴である精密単結晶回析実験による精密構造解析、電子密度分布や電子軌道の観測、対象中心存在の有無の決定による空間群の詳細決定と相転移機構、多様な物理現象の発現機構など、物質現象の本質を結晶構造解析から明らかにしてゆく。

    2)シンチレーション検出器を用いた単結晶構造解析の精度向上、超高圧ダイヤモンドアンビルセルによる高圧単結晶測定法の特性を配慮して、装置の革新や維持を行うため、実験技術ごとに専門の研究促進グループを形成し、広い研究分野に対応できるサポート体制を確立する。

    3)世界中の放射光施設の中でのBL-10Aの優位性・特徴をアピールし、学術的地位向上を図り、若手研究者や次世代研究者としての学生のアクティビティーを高めるために解析ソフトの汎用化等を含めた、教育的サポート体制を構築する。

    4)定期的かつ多岐にわたる分野のユーザーネットワークを広げる努力を常に図り、ユーザー間および施設とユーザー間で情報を密に交換するとともに、共同で研究活動・研究会開催や各種支援活動を促進するとともに異種分野間に至るネットワークを築き情報の発信・共有化を図る。

    ●主要ビームライン
    10A

    ●主な研究活動内容
    サブグループ:構成メンバーは主要な研究テーマにより4つのサブグループがあり、広いテーマからの要求に見合った対応を取れるようにしてある。
    現状は、パック申請のテーマ分野に従い、おおきく4つのサブグループに分類し、相互連携を保ちつつビームライン実験装置の管理運営を行う。
    もちろん、将来グループ再編などの自由度は高い。

    @天然鉱物・鉱物結晶学グループ

    A高圧・高温・低温構造測定グループ

    B無機・材料構造科学・発現機構解明グループ

    C環境ソフトマテリアルグループ

    保守・実験支援体制:地理的利点と、保守対応の観点から上記サブグループを超えた保守・整備・調整・実験支援メンバーを設置した。
    メンバーには、物質構造研究所のBL-10Aの保守運営経験者も加わっており、保守に関する中核メンバーとして活動する予定である。
    本メンバーには、今後の本ビームラインの発展的展開も含めて若手のメンバーにより主に構成されている。

    ●今後の活動予定
    (1)単結晶精密構造解析の学術的価値を発信し、放射光実験ステーションBL-10Aの優位性をさらに高め、次世代研究者育成やアクティビティーを高める。

    (2)BL-10Aを管理運営・革新発展的に維持する。

    (3)運営や該当分野の将来展開可能性、学術的戦術等に関する意見交換を行う。

    (4)異種分野間に至るネットワークを確立し、情報の発信・共有化を図る。

    キーポイント:超高圧単結晶実験、高温、低温結晶構造解析、高圧構造解析、未知構造決定、精密結晶データ測定、任意波長利用X線回析、Debye-Waller 因子解析、結晶構造評価、結晶方位決定、ランダム構造解析、不規則系構造解析、超構造解析、多次元構造解析、実験サポート・教育

    BL-10Aの維持及び管理:BL-10A実験ステーションでは、シンチレーション検出器を用いた単結晶X線回析法実験を基本にした、精密測定を手法の中心としている。結晶方位と回析強度・散乱強度、X線エネルギー等の精密決定が不可欠であり、他の装置に比べ総合的優位性を有しており、
    1)電子密度分布や結合起動電子や不規則構造、欠陥構造の詳細な観測がより確かなものとして観測できる。

    2)結晶構造内の構成元素の分布を定量的に測定できる。

    3)超高圧や高温、磁場や電場、雰囲気等のコントロールを行うことで、物性変化の本質が解明できる、などの特徴がある。

    本ユーザーグループは、これらの特徴をもつ放射光単結晶回析実験の優位性を利用した測定に特化したX線実験を行い、その方法論の深化を図る。

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